
ども!Sayabo54です。
今回は、イチジク界の禁断のネタ「品種名」に迫ってみます。
日本で流通しているイチジクの品種名って、ややこしくないですか?
初心者の私は、めちゃくちゃ混乱しました。😅
そこから見えてきた私見を書き足していこうかと思います。
「品種名」と言っても実は、色々な意味合いを含むことがあります。
品種名の種類?
品種名の種類って何のこと?
イチジクの種類についた名前が品種名でしょ?!となりますよね?😅
生物学の分類からくる品種があれば、品種の種類として国際品種、固有品種、土着品種、自生品種など、さらに海外にも同じような品種の種類があります。
品種の種類があればそこには、品種名がつきます。
あだ名のような品種名も存在します。
品種名そのものに権利が、つく場合もあります。
育成者権のついた品種名
日本では、品種登録制度というものがあります。
育苗法(いくびょうほう)に基づいて新品種を農林水産省へ登録すると知的財産として保護してくれる制度です。
品種登録制度とは、一定の要件を満たす植物の新品種を農林水産省に登録することで、育成した者に. 「育成者権」を付与し、知的財産として保護する制度です。引用 – 農林水産省 品種登録制度 育成者権より引用
2024年09月25日現在、この品種登録制度へ登録されている品種(学名:Ficus carica)は、以下の8件になります。
- サマーレッド(2011年01月19日に育成者権消滅)
- 姫蓬莱(2011年09月06日に育成者権消滅)
- ヴィオレッタ(2022年05月03日に育成者権消滅)
- とよみつひめ
- キバル
- 励広台1号
- LMF01
- 励広台2号
ここでは、育成者権の権利の内容については、ふれません。
商標権のついた品種名
商標登録は、商標法に基づいて商品名(品種名)を特許庁へ登録すると商標の使用権を独占的に取得する制度です。
商標制度とは、商品やサービスに付ける「マーク」や「ネーミング」を財産として守るのが「商標権」という知的財産権です。引用 – 特許庁 商標制度の概要より引用
2024年09月25日現在、この商標制度へ登録されている商標(いちじくに関する)は、35件になります。
商標の中には、お菓子のネーミングなど直接、植物のイチジク品種と関係しないものも含まれます。
イチジクの品種名(ブランド、流通名)に関係するものは、「久留米くろみつ」「多伎いちじく」などあります。
品種名の表記で「~~~®」とされる記号が登録された商標です。
品種名の表記で「~~~™」とされる記号は、登録されてない商標です。
ここでは、商標権の権利の内容については、ふれません。
地理的表示(GI)保護制度の品種名
地理的表示(GI)保護制度は、知的財産を保護するための産品の名称(地理的表示)およびGIマークのついた品種名を登録する制度です。
地理的表示法(特定農林水産物等の名称の保護に関する法律)とは、特定の産地の農林水産物や食品などの名称(地理的表示)を保護する法律です。引用 – 農林水産省 地理的表示法とはより引用
2024年09月25日現在、この地理的表示(GI)保護制度へ登録されている名称(いちじくに関する)は、「大竹いちじく」になります。
登録簿を確認したところ「ブルンスウィック」「ホワイトゼノア」の品種を地理的表示として「大竹いちじく」と表示しているようです。
秋田県にかほ市で生産されている「ブルンスウィック」を地理的表示で「大竹いちじく」という名称で表示登録してます。
とのことなのですが、地理的表示は、「にかほ」でなく「大竹」ですよね?この地域の旧名が「秋田県旧金浦町大竹地区」とのことです。
ファッ!?😲😥🤣
品種登録制度は、新種を対象としている
商標制度と地理的表示(GI)保護制度は、既存の品種を対象としていますが知的財産の保護の意味がよくわかりません。
和名
イチジク(無花果)の品種名に漢字やカタカナ、ひらがな、数値記号で表記されているものがあります。
日本で流通している無花果の品種に「桝井ドーフィン(ドーフィン)」「蓬莱柿」「ザ・キング(キング)」「ホワイトゼノア」「とよみつひめ」「久留米くろみつ」などあります。
日本人としては、呼びやすい、覚えやすいことから頻繁に使用される品種名です。
本来、同じ品種であっても別名であったり、ブランド名などで呼ばれる場合もあります。
流通名
流通名には、和名と同じ意味合いの品種名もあれば、英語表記や略語をそのままに品種名が流通名として使用される場合があります。例えば、「BM」「BNR」「LSU ~」などです。品種名の後ろに「#1」や「KK」など数値や記号、略称が表記される場合もあります。英語表記であっても別名が存在する場合があります。例えば、「Dauphine = DFIC #84」など
学名
生物学での種名(学名)は、属名 + 種小名で表記されます。
植物学におけるイチジク属の品種には、Ficus carica、Ficus pumila、Ficus erecta、Ficus elastica、などなど
約850種ほど存在するそうです。
学名で無花果を種名で表すとどれも「Ficus carica」です。
例えば、和名の「桝井ドーフィン」を生物学の学名で栽培品種(園芸品種)として表すと「Ficus carica `Masui Dauphine`」となります。
品種名には、色々な意味が含まれていることがわかります。
品種名の問題
品種名の表記の問題
日本語での特有の問題があります。
和名の「サマーレッド」は、英語表記にすれば「Summer Red」
学名の栽培品種名だと「Ficus carica `Summer Red`」
品種登録の権利が有効な時には、ひらがな表記で「さまーれっど」も存在したかもしれません。
無理やり漢字表記にすれば「赤夏」でしょうか?
国内で流通している時には、カタカナ表記で「サマーレッド」で通じますが英語圏の人からは、読めません。
少々、強引ですが英語で表記する場合は、「Summer Red」となり学術的な場面では、「Ficus carica `Summer Red`」となります。
どれもまったく同じ品種を指しているにも関わらず状況に応じて表記が変わります。
これだけでなく英語表記の誤訳や間違った発音をそのまま日本語にして流通している品種名などもあります。
海外からの品種には、英語表記だけでなくフランス語、中国語、ポルトガル語などなど
場合によっては、そもそもの綴りに誤りがあるような場合も見かけます。
そのままの表記の場合もあれば発音をカタカナに置き換えて流通している品種名などさまざまです。
これを和名に置き換えてカタカナ、ひらがな表記する時に誤った発音(ローマ字読み)のまま記載されていたり、極端に省略されたりと混乱を招いています。
同じ品種のはずが、出生のストーリーに分岐や別のストーリーが加わって皆さん大好きな「Black Madeira」など
さらに地域名やブランド名が混在します。
どれだけの呼び名が流通しているのか不明です。
例えば簡略しますがポルトガルの黒イチジクがアメリカへ渡ってこれを「Black Madeira」と呼びましょう!となりました。
では、ポルトガルにある黒イチジクの品種名は?「Black Madeira」じゃ間違いですか?
それらが国内や世界で混在して流通しています。
品種名の表記の問題の改善
これは、自身も要注意で気を付けなければならないところですが
間違いを減らす、なるべく詳細(略さず)に表記する努力が必要と思います。
海外からの輸入品種であれば、そのまま原文(英語など)で品種名を表記するのがよいかと思います。
それでも品種名を転記する時にスペルを間違えるなど気をつけましょう
それでも元の表記が間違ってるケースもあるので避けようのないこともありますけどね😅
人間がやることなので間違いは、起こります。(私は、よく間違えます。🙇)
公的な品種名の表記でなく流通名であるならば、ある程度、誤表示が含まれているものだとの認識と許容が必要かと思います。
誤表記が個々の努力で減らしていければ改善につながると信じています。
品種名から同定する問題
「同定」とは、一般的にある対象が何であるかを明確に特定することです。
予め「同定」そのものが問題と言ってる訳ではありません。
「同定」する状況によって問題が起こりえるということです。
ここからは、私の独自解釈が含まれます。ご了承願います。🤣
日本人は、「品質」にこだわります。悪い意味では、ありません。
繊細で緻密なところまで追求し極めようとする気質があると思います。
品種を同定するのが日常的というか当たり前のことのようにされています。
真贋(本物とにせ物)を見分ける行為がされています。
同定が問題と思われるケース
例、Aさんが、SNSへ自分の所持しているイチジクの画像を品種名つきで投稿したとします。
投稿内容は、「実が生りました。これから肥料は、必要ですか?」とします。
これを見たBさんが品種の同定をはじめます。
「実の形が違うのでこれは、~という品種では、ありません」など
このような投稿に対する反応は、よく見かけるケースだと思います。
Aさんの報告や質問の内容の趣旨に対して突然、同定をはじめる返しをする。
Bさんは、正義感から同定する行為をおこなったと思われますが、
これは、行き過ぎた正義感であって俗にいう「自粛警察」の行為そのものだと思います。
場合によっては、Aさんに対する私怨などの「アンチ」行為かもしれません。
Aさん自身も気分のよいものでなく
これを見た第3者も気分を害する行為だと思います。
逆にAさんが投稿で品種の同定を依頼する趣旨であれば、それに対して考察を返すのは、マナー違反とならないと思います。
また、自身だけで品種に対して考察や同定するのは、学びを深める意味で良いことだと思います。
相手のことや状況をよく考えて考察しましょう。
品種名から同定する問題の改善
理想としては、専門機関による公開されたデータベースにて品種の形質や形態、生態などがわかりやすく登録されていて広く認知されていれば各々でもある程度の確認は、可能となり問題を未然に防ぐことで役立つと考えられます。
現状では、イチジクに関して世界統一的なデータベースは、ほど遠い状況だと思います。
イチジクの品種や品種名に関して解説しているデータベース的な発信元も数多く存在してますが、情報元をそのまま転載していたり意図がなくても思想や人の曖昧なレビューに偏った内容であったり中には、調査不足的な誤りのある情報も多く見かけます。
これをまた誰かがそのまま鵜呑みにして情報を使ってしまう悪循環があります。
自身で品種を解説する時には、慎重に調査して発信するような心がけが必要です。
これに対して情報を受ける側も間違いが含まれているかもしれないこと念頭にいれて情報を扱いましょう。
次も理想となりますが、遺伝子マーカーという方法でDNAの確認が手軽に安価で素早くできるようになれば同定の精度も格段にあがりますが、それにも比較対象となるデータが必要となることからこの基準を集めるだけでも大変な作業となることが予想されます。そう遠くない未来で手軽に照会できるような環境ができるいいですね😊
というところで、そもそもイチジクをはじめ生物を同定するのにパッと見で判断するのは、間違いや問題のもとであり、安直にすべきでは、ないと思います。
「これは、~~かな?」くらいに留めておくのが平和的だと思います。
流通での問題
詐欺は、意図的に人を騙して損害を与える犯罪行為です。
これは、明らかに許されない行為であり処罰される対象です。
「悪質クレーマー」「悪徳業者」問題、フリマアプリやオークションなどの「悪質ユーザー」も問題です。
マーケットでのルールを守らないで行われる商取引は、ルール違反であり、排除されるべき対象となります。
難しいのがマナーに反する商取引の問題やルールが明確でないグレー状況での判断が必要な商取引の問題です。
購入者優位から優越的地位の濫用、優良誤認など、取引の場面によって様々な問題が付いて回ります。
イチジクは、果実の販売が主ですが、問題が起こりやすいのは、穂木と苗木の取引となります。
特に問題が現るのが希少品種の取引や高額品種の取引です。
以下、問題の一部となります。
よくある商流を例にしてみます。
BさんがSさんより仕入れた穂木をCさんへ売るケースなどで、どこかで品種の同定を間違っている場合、問題が発生します。
1.Sさんが品種を間違えてBさんへ販売しこれをBさんがCさんへ確認なしに販売しているケース
2.Bさんが仕入れの段階で間違えて確認なしにCさんへ販売しているケース
3.Cさんが購入して間違えているケース
Bさんが販売時もしくは、入手時に品種を同定できていれば問題は、発生しにくいと思われます。
イチジクの品種を同定するのは、困難であり曖昧さがあります。
よく聞く品種同定の話では、葉形の特徴を確認する。結実(実)の特徴を確認する。などです。
葉形も幼葉のころの特徴と成長したころの特徴で違う場合もあります。
ある程度の成長した状態の葉形を確認するのは、確認しないよりマシです。
結実の確認は、実をつける時期や形状、色彩、風味などあります。
これも初回の結実だけでは、正確な特徴が表れないこともあります。
生物に絶対は、ありません。特徴が異なって現れることもありえます。
なので、あくまでも品種名の同定を行うのでなく「確認」をする程度と考える。
確認をした結果、疑問があれば質問する。それでも疑問が残れば手を出さないのが無難であり、自己責任だと思います。
流通の問題は、これだけではありません。
これは、ブランド名にも及ぶのですが、流通の途中で品種名を変えてしまう行為です。
例えば、「ザ・キング」で入手したものを省略して「キング」として手放す。
「白イチジク」として入手したものを「ホワイトゼノア」として手放す。
「蓬莱柿」として入手したものをご当地の名前に変えて「~いちじく」として手放す。
他の例で、個人で勝手に特徴をとらえて品種名を変えたり、名無しだったものに品種名をつけてしまう行為も同じです。見方によっては、ご法度です。
これらは、元の品種名を変えて流通した後に元の品種に新たな特徴などが発見され、別種と判断された場合に元に戻せない状況を生み出します。
可能性として問題が起こりえるので個人的には、流通でブランド名や地域名も好ましく思えません。
可能な限り、「地域名 産 ~~~」が明確だと思います。
また、冒頭にもあげましたが「悪質クレーマー」「悪質ユーザー」といった双方の負担も増えています。
この問題もつきまとうので予め必要な対策としては、詳細に正しい商材の情報を掲載および確認する。
必要な注意事項を掲載、確認する。返品、返金の条件、取引、配送などの条件を明確に記載する。または、確認する必要があります。
めんどうでは、ありますが注意を払わないと問題を引き起こすこととなります。
流通での問題は、他にも色々な問題ケースが存在するので割愛します。
流通での問題の改善
身も蓋もありませんが、現状、簡単に流通での問題改善は、困難です。
問題は、常に含んでいると各自が認識して、ルールを遵守しマナーや思いやりのある取引を心がけるしかありません。
少なくとも自身が加害者側とならないよう心がけましょう。
それでも問題が起これば誠心誠意に対応するしかありません。
行き過ぎた行為、詐欺行為、犯罪行為に巻き込まれたらすぐに公的機関へ相談しましょう。
イチジクの品種名に関していえば、先日たまたま、ポルトガル、アメリカ、フランス、日本の「Dauphine」を写真で見比べることがありました。
個人的な感想ですが、ポルトガルとアメリカは、似ていてフランスと日本の「Dauphine」が似ているのですがポルトガルと日本では、微妙に似ていない気がしています。
日本で100年近くたつ「Dauphine」でさえ、このような違いが生じます。
このような事例を知らずに販売者と購入者の認識が間違っていなくても元が異なれば真贋を求めトラブルへ発展する可能性があります。
なので双方が故意でなくともイチジクの品種名をめぐるトラブルは、つきものだとの認識が必要となります。
一縷の望み(いちるののぞみ)
先ほどは、品種名の問題の改善が困難としましたが、ここでもし一つの希望があるとすれば
それは、一部で使用されている品種名の冒頭(末尾の場合も)へ「UNK」「Unknown」をつける習慣です。
「UNK」「Unknown」は、よくわからない、不明などの意味ですね
関西人の語尾につける「しらんけど」と同じニュアンスだと思います。🤣
「UNK Dauphine」とは、「正しい名称はわからないが、Dauphineと呼ぶ」という意味になります。
それとトマト界隈では、もっと意味合い強く「Not」を品種名の冒頭へつける習慣もあるそうです。
トマトなどは、品種が確立されていることから由来していると考えられます。
これは、完全に否定をつけることで品種としての特徴を確認できない時などにつけるようです。
「Not Dauphine」とは、「特徴が確認できないが、Dauphineと呼ぶ」という意味になります。
別名に関して「Aka 〜」という使い方があります。
“Aka” is an abbreviation for “also known as”
という意味で別名を指しています。
それぞれ混乱を防ぐのに役立つと考えられます。
もしこの習慣がイチジク界隈で浸透すれば、トラブルもだいぶ減ると思いませんか?
お手元のイチジクの品種名がなんとなく怪しい時や入手元の流通経路がよくわからないなど
せめて確認がとれるまでの間は、「UNK ~」と呼ぶなどの表記があれば
見る人や購入する人も理解しやすいと思われます。
この歴史あるイチジクの世界でトラブルを減らし皆さんが楽しめるよう
この習慣が広まるといいですね😊
それでは、マタ👋