いつもの如く前置きが長くなるので「挿し木」から読みたい方は、目次から目的まで飛ばしてください。
イチジクとの出会い
私が小学生の頃、友達の家のベランダでは、イチジクを鉢植えしていて、実が生るとご馳走してくれた思い出があり、当時は、憧れといいますか、羨ましかったと記憶してます。
10年以上前に自分でイチジク(桝井ドーフィン?)を地植えしていた時は、イチジク栽培に関する情報も少なくて、なんとなく「水が好きな植物だな」と思いつつ苗木を日当たりの良い水場の側に植えていたらワラワラと実が生っていました。当時、虫の対策をしなかったのでイチジクの実は、蟻(アリ)の巣窟となって食べることを断念してました。🤣
そんなイチジクを最近、再認識してその魅力に沼っております。😅
まだイチジクの魅力にハマってない方のために簡単に紹介したいと思います。
イチジクの概略
日本で食用の「イチジク」を海外では、「Fig」と呼んでいて学名を「Ficus carica」といいます。
イチジクは、エジプトのピラミッドの壁画や旧約聖書にも登場するくらい古い歴史があるそうです。地中海地域の方から日本へ渡ってきて「無花果(イチジク)」と呼ばれるようになりました。花も咲かないのに実をつけるように見えることから「無花果」という字があてられたのですが、実は、果実に見える部分が花もしくは、花嚢(かのう)でして中身の粒々の一つ一つが果実となります。「雌雄異株」と言いまして原則、雄の木と雌の木と別れています。日本で流通している多くは、雌の木の果実となります。
イチジクは、イチジク属でも世界で何百とあり、さらに「Ficus carica」だけでも知られている品種が何百とあります。まだまだ名も無き品種がどこかの川沿いや山奥、畑の隅に存在していることでしょう
近所の土地のイチジクが実は、新品種なんてこともあり得ると思います。
私が思うイチジクの魅力
まずは、一般に「自分で育てて食べられる果実」である。室内でも栽培は、可能です。小学生の頃からの思い出もあり色々なイチジクの品種を育てて食べ比べをしたい思いがあります。
食べて美味しい魅力もありますが、全体に白斑が入った見て美しいイチジクの品種などもあります。
イチジクは、あの「Hermès(エルメス)」の香水にも使われているようにとても良い香りがします。😊
成長が早いので育てるのも楽しいですし、とても丈夫な植物です。
多くの品種があるのでコレクション性が高いことも魅力です。
ここまででも十分、魅力的なイチジクですが、さらにその生態も変わっていて面白さがあります。
「Ficus carica」は、4つのタイプに分けられます。先の概略でもふれましたが「雌雄異株」であることが関連します。
「食用」で流通しているのは、「Common(コモン)」「Smyrna(スミルナ)」「San Pedro(サンペドロ)」で現状は、雌株しかありません。国内で多く流通し栽培されているのは、「Common(コモン)」タイプです。
残る「Caprifig(カプリ)」タイプは、雌株と雄株が存在します。食用に適さないとされていますが、中には、美味しく食べれるカプリタイプの品種があります。
「雌雄異株」と説明してきましたが、稀に「雌雄同株」も存在するらしいです。
今回「Smyrna(スミルナ)」、「San Pedro(サンペドロ)」の説明は、省きます。
私は、「マイノリティ派」なので🤣「Smyrna(スミルナ)」「San Pedro(サンペドロ)」特に「Caprifig(カプリ)」に強く興味が惹かれます。
持論ですが、「Caprifig(カプリ)」こそ国内のイチジク界を盛り上げることができるとさえ思っています。
自然界でのイチジクの受粉は、イチジクコバチによって行われますが「日本には、存在しない」と言われることがあります。
イチジクコバチは、「寒さに弱いから日本にいない」とも説明されている場合がありますが、気候だけであれば日本でも生存可能なハズです。
実際のところ日本でも「イチジクコバチ」は、生存しています。
某研究資料では、冬の間や寒い気候でイチジクコバチは、「休眠」するとあります。
また、ハンガリーのPécsという地域でイチジクコバチが定着しているとの情報があります。※USDA Zone 7b 北海道の南西部くらいの気候
イチジクコバチとイチジクは、1種対1種の共生関係とされていますが、これだけ多種多様な品種のイチジクが存在していて1種対1種であり続けることの方が「不自然」と感じます。
私は、「Ficus carica」について「Persistent Caprifig(カプリ)」の質量と生育する環境が影響しているとする考えに賛同します。
イチジクに関しては、イレギュラーなことも存在するのでややこしいのですが、そこも夢があり魅力を感じます。
とザックリした内容で伝わりにくいと思いますが深掘りの内容は、別の機会で記事にします。
あえてイチジクの難点をあげるとすると果実が傷みやすいので店頭に並ぶことが少ないという点でしょうか?それも希少性と考えれば良い点になるかもしれません。
それでは、本題に入りましょう!😋
イチジクの挿し木
イチジクの「挿し木(穂木を用土へ挿して発根させる)」方法について多くの情報では、鉢に赤玉土などの用土を入れてそこに穂木を挿して水やりを管理するやり方では、ないでしょうか?
私も以前の記事「イチジクの挿し木に適したLEDライトによる育て方とは?」にあるように最近までは、鉢に挿し木する方法をとっていました。
間違いでは、ないです。鉢に挿し木する方法でも発根は、します。が、やや難点として湿度や水分の管理に気を使います。
おそらく農家さんや園芸家の方など数量を扱う場合は、コストや時間の兼ね合いから従来の方法が向いているのだと思われます。
今回、紹介したいのは、私がリスペクトしている米国のデイビットさんの室内で挿し木する「Cup Method(プラカップ挿し木の方法)」を少々、改変した内容になります。
Cup Method の準備
Cup Method(プラカップ挿し木の方法)の前準備となります。
【必要な材料と道具】
- 透明プラスティック・カップ(約420ml 14オンス)
- 透明プラスティック・カップに合うフタ(穴あきタイプ)
- ブロックシリコ「ミリオンA」
- ココピート・ココファイバー(細かいタイプ)
- パーライト(黒曜石)
- 「New メデール(Buddy Tape)」
- 剪定バサミ・ハサミ
- カルスメイト
- タグ
- 鉛筆
- あればUV防水保護シールなど
※記事の最後へ商品のリンクを貼っておきます。よろしければご利用ください。
【カップのサイズの目安】

穂木の長さが 10cm 前後であれば 400ml 12オンスのサイズ
穂木の長さが 20cm 前後であれば 420ml 14オンスのサイズ
穂木の長さが 30cm 前後であれば 540ml 18オンスのサイズ
透明であることで発根した時に目視で確認できますし用土の乾き具合も確認しやすくなります。
「シモジマ」さん以外でも透明フタつきプラスチックカップであれば代替可能です。
透明プラスティック・カップに合うフタ(穴あきタイプ)は、カップと同じく「シモジマ」さんであれば「HEIKO プラスチックカップ 平型蓋 口径95mm用 C穴付 透明」が12オンス、14オンス、18オンスと幅広くサイズが合いますのでオススメします。
【保護フィルム】
「New メデール(Buddy Tape)」で穂木を保護します。
穂木をそのまま挿し木しても発根は、できるのですが保護フィルムで挿し木した場合としない場合の成功率に差が出ます。
コストや量、大事な穂木か量産かの兼ね合いになるかと思われます。
成功率を上げるためには、「New メデール(Buddy Tape)」などの保護フィルムを使用されることをオススメします。
挿し木の手順
手順は、「穂木の準備」が先でも「用土の準備」が先でも問題ありません。
穂木の準備
挿し木する穂木を準備します。
剪定または、入手した穂木は、なるべく鮮度の良いものを使いましょう!イチジクは、生命力が強いので長持ちする方だと思いますが鮮度が良ければ発根する確率も上がります。
蛇足ですがデイビットさんから穂木が届きました!
【穂木の洗浄】
熟知した親木から剪定した穂木であれば洗浄する手間を省いてもよいかと思います。ただし植物の病気に注意して清潔感は、保ちましょう。
洗浄消毒する場合は、「ジョイW除菌微香」をビニール袋へ数プッシュして洗浄用に水道水で希釈した液に穂木を入れて軽くシェイクしながら洗浄します。そのまま3分ほど漬け置きしてから洗浄液を綺麗に洗い流してください。
心配な方は、植物用の殺菌剤(トップジンM水和剤など)で消毒してください。
水分が失われないようにビニール袋などで穂木を保存してください。穂木が乾き気味の場合、霧吹きなどで保湿してあげてください。数日は、このままでも保存できます。※穂木を5℃くらいの低温で休眠状態にして保存もできるのですが、鮮度が落ちるのでオススメしません。
【節の見分け方】
画像の赤線で囲っている部分が元々、葉が生えてた部分になります。
赤線の半月状に切れている部分が穂木の上方向です。
青線で囲っている部分が元々、実が生っていた部分や新芽となる部分です。
黄色で囲っている部分のように横からも新芽や実が展開します。
穂木の 2 ~ 3 節(ふし:茎の膨れてる部分)を残します。節と節の間が詰まっているようであれば 20cm くらい残します。
あまり穂木が短いと体力が少なくなり発根が失敗する率が高くなります。
【保湿保護】
余分な部分があれば先端の節から 1 ~ 1.5 cm ほど上部を剪定ハサミで水平にカットします。
切り口の部分は、乾燥を防ぐために「カルスメイト」や「トップジンMペースト」を塗って保護します。私は、「カルスメイト」を愛用しています。
次に「New メデール(Buddy Tape)」等の保護フィルムで穂木の下 3 ~ 5 cm くらいを残してフィルムを巻いていきます。ハサミで適当な長さにカットして伸ばしながら巻いていきます。
保護フィルムは、多少、重なっても問題ありません。保護フィルムを突き破って新芽は、出てくるとのことですが、私は、念のため節の部分だけ避けるように巻いています。
【発根部分の処理】
保護フィルムが巻き終わりましたら穂木の一番下(発根させる)の部分を剪定バサミで斜めにカットします。
斜めにカットすることで切り口の面積が広がり発根する率が上がります。デイビットさんの方法では、鉛筆削りのように先を尖らせるように下部を削ってしまうのですが、私は、チキンなので斜めカットでとどめてます。🤣
発根率を上げるために樹皮の部分も剪定バサミを使って削ぐようにキズを入れていきます。
食用作物なので発根を促進させるホルモン剤は、使用しません。
これで穂木の準備は、完了です。すぐに挿し木しない場合は、乾燥しないように保湿してビニール袋などで保管してください。
用土の準備
挿し木する用土を準備します。
【底石】
ブロックシリコ「ミリオンA」は、カップの底へそのままひと並べします。
パーライト(黒曜石)でも代替できます。
ブロックシリコ「ミリオンA」は、水の浄化作用があるとのことです。
赤玉土など使用してないので「鉄」などのミネラル補給も兼ねてオススメします。
【用土の配合】
挿し木の用土は、「ココピート・ココファイバー(細かいタイプ)」と「パーライト(黒曜石)」を1:1で配合したものを使用します。
ココピートの代わりに「ピートモス」も使用できます。お好みで使用してください。
挿し木する
透明プラスティック・カップは、「シモジマ」さんの「HEIKOプラスチック・カップ14オンス」を使用しました。上記の【カップのサイズの目安】を参考に皆様の条件に合わせて改変して読み進めてください。
底石を引いた透明プラスティック・カップへ「すりきり一杯」まで配合した用土を入れます。
ストロー用に穴が開いているのでそこから穂木を通します。
フタの穴が小さい場合は、フタに切り込みを入れて通しましょう。
カップへフタをすることで蒸発を軽減して一定の保湿効果が得られます。
また、不意にカップを倒しても土こぼれが軽減できます。
フタを閉める前にタグへ鉛筆などで品種名を記載して見えやすい位置に挿しておきましょう
タグは、消えないように「UV防水保護シール」などで保護しましょう
タグが無い場合は、フタなどへ直接、油性マジックで品種名を記載しましょう
管理の仕方
「プラカップ挿し木の方法」であればカップ内を目視で確認できると思います。
湿度が保てていればカップの内側が水滴で曇った状態になるかと思います。
底石に水が溜まるようであれば水のやり過ぎです。
用土が乾いて明るい茶色になったり水滴の曇りがなくなったら水差しでストロー口の隙間からカップ内へ抽水します。
気温が25℃前後の明るい場所で管理していれば、早ければ翌日、2週以内には、新芽が展開すると思います。
発根してくればカップの外側からも確認できます。
十分に根が張って、葉も数枚展開し、春の暖かい気候になったら鉢上げしましょう
寒い時期に鉢上げして外気で管理すると枯れる場合がありますので注意しましょう。
皆様のイチジクが成功するよう心よりお祈り申し上げます。
それでは、マタ😊
最後に商品リンクを貼っておきます。よろしければご利用ください。
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